ドリー夢小説
「あら、偶然だね☆」
このカバリア島で、出会いたくないベストワンなヤツに出会ってしまった…。
TEN☆TEKI
の狩りを支援していたは、
背後から声をかけられた。
いつもならこの声には決して振り返らないだったが、
モンスタークエストが終了したと喜んで飛び跳ねる
に見惚れていたせいか、
反射的に振り返ってしまう。
(げっ)
直後、一筋の悪寒と共には振り返ったことを後悔し、
咄嗟に体を元に戻し、なにも見てないなにも聞いてないと念仏のように心の中で唱えたのだが、
その努力もが相手なら意味もない。
「あらあら、そんなに邪険にしないでよ☆」
「……貴様と話す暇はない」
眉間に皺を寄せたを不思議に思い、はひょいと横から顔を出し、
の体で見えなかったの姿を見つけた。
「あー! だ!」
がの姿に気付くと、
嬉しそうににっこりと笑った。
だが、さらにの神経を逆撫でしたのは、の笑顔ではなくの行動の方だった。
「いやーん、も一緒じゃない(知ってたけど)久しぶり♪」
再会の喜びを体で示せとでも言わんばかりに、
そう体格差のないをぎゅっと抱きしめる。
「あはは、相変わらずは元気だな」
いつも会った直後にこうして抱きしめられる。
健全な男の子として、がの腕の中でドキドキと心臓を鳴らしている間、
はチラリと視線を動かし、不機嫌そうに顔をしかめているに向かって、
口端と目元を緩ませ、ニヤリと笑った。
(羨ましいでしょう〜?)
(…黙れ)
(あーらそう、素直になったら離してア・ゲ・ルわよ)
(……っ)
そんなやりとりが視線だけで交わされていることなど露知らず、
の腕の中で頬を染めていたは、
遠くで誰かを探しているかのようにきょろきょろと顔を動かしている見知った人物を目にした。
「じゃん!」
の大きな呼び声が聞こえたのか、の視線はへと向けられ、
攻防戦を繰り広げていたとの視線はへと向けられた。
「おおーい、こっちこっち!」
はの腕から離れ、に向かって手を振った。
その隙を、が見逃すはずもなく。
素早くの腕を取ると、自身の胸元へ引き寄せた。
「返してもらう」
「残念、まあ仕方ないわね、って抱き心地良いものね♪」
無闇に言い返すと何倍にもなって言葉が返ってくる。
に口では勝てないは、
それ以上言葉を続けることはなかったが、
確かに、の言うことにも一理はあるとは思った。
との会話がいまいち理解出来ずにいるは、
不思議そうにを見上げる。
その瞳を見下ろしながら、確かに抱き心地は良いものだとは心の中で呟いた。
「不潔よっ!」
が合流した途端、互いの目を見つめ合いながら、
さもこれから愛の抱擁でもかわそうかとしているように見えたとに向かって、
顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。
なんでそんなことを言われたのか分からないは首をかしげながらを見るのだが、
は恥ずかしそうに視線を逸らすと、の腕を離さずに、
「ほら、ギルドへ戻るぞ」と言い、と共にその場から逃げるように去っていった。
まだ話し足りない気持ちを抱えながらも、はの後をついていく。
残されたは「まあまあ」と手を適当に揺らしながら、
すっかり沸騰してしまっているをなだめ続けていた。